フォト日記(2010年10月)

10月31日

久しぶりに本を読みました
今までは読みかけの本をそばに置いておかないと物足りないような気がしていたのですが
今年は夏からずっと本も読まずに過ごしてしまいました
先日図書館でふと手に取った本
「脳梗塞からの”再生” 免疫学者 多田富雄の闘い」という本…
著者はNHKのディレクターの上田真理子さんです
NHKスペシャルで2005年に放映された
多田さんの闘病と”再生”を追ったドキュメンタリー番組
今年の4月に多田さんが他界され 追悼という意味もあったのだと思いますが
5月頃再放送されたものを私も見ていたので
「あっ」と思い手に取ったのです
内容を詳しく述べることはできませんが 
私は心の奥底を揺さぶられる思いがしました
人間の身体は意識せずにとても複雑な動きをしているのは知っていましたが
その精密機械を動かしている脳が部分的にでも壊れてしまうと
本当に大変な事態になってしまう
これまで「麻痺」という言葉を何気なく使っていたけれど
麻痺は力が入らないのではなく 筋肉が緊張し続けているのだということを知りました
手 足 多田さんの場合は喉も…
 筋肉を緩めることが出来なかったり うまく働いてくれなかったら
手足は硬く曲がり
 自分の唾液すら飲み込めない状態 そして話すこともできなくなってしまうのです
それはどんなに辛い日々でしょう
死んでしまいたいと思いつめる日々の中で ある日足の親指がピクリと動くのです
そのとき 麻痺は回復することはないけれど
新しいものが生まれつつあることを知るのです
自分の中に生まれつつあるもの そいつがどんな奴か会ってやろうと…
2001年に病を患った多田さんは その後ワープロを打つことで表現手段を獲得し
世界的な免疫学者として活動を続けながら
本の執筆や 能作者として新作能を世に送り出します
それは今年の4月21日 亡くなる直前まで続けられました
日常の辛さは変わりはないけれど
「歩き続けて 果てに 熄む(やむ)」を自分の理想として…
本では 新作能「原爆忌」に込める多田さんの思い
放射線の影響が40年たっても染色体異常として残っていること
今も世界は核の脅威にあることなど 科学者としての危機感にも触れています
また2006年に社会保障費の削減をもくろんだ小泉内閣が打ち出した
「リハビリ日数制限」に対して
「リハビリは単なる機能回復ではなく 社会復帰を含めた人間の尊厳の回復なのです」と
白紙撤回を求める運動の先頭にたって活動していたことにも触れていました

「歩き続けて 果てに 熄む」
私は多田さんのような偉大な人ではなく
何の取り得のない日々を暮らしてきた人間ですが
でも こうありたい こうあって欲しいという理想の未来に向かって
それは自分のことでも これから孫たちが生きる地球のことでも
あきらめずに歩き続けようと思ったのでした

写真は 1枚目2枚目は今朝のもの
 とぅもろうの窓から見える木たちですが 今朝は近くまで行ってみました
朝6時の気温はマイナス3度 秋まきの小麦も霜で凍っていましたが
まだ道沿いの楢は赤茶色に色づいた葉が残っていました
3枚目4枚目は昨日のもの
カラマツもいい色になってきました
冬の前の最後の彩りです
写真を撮ろうとうろうろしていたら 思いがけず草を食む牛たちがいました
何してんの?という顔でじろっと見ていましたが
先日の雪の残る牧草地で「生の草を食べられるのもあと少し〜」と無心に食べ続けていました

節子




10月22日

朝 窓の外に目をやると庭の草たちが真っ白な霜に覆われ凍りついていました
だいたい今頃にドーンとやってくる本格的な霜の到来です
気温はマイナス2度
この日を境に庭の花はみんなしおれて枯れてしまいます
毎年この霜が降りると雪の季節が近づいていることを肌で感じるのです
でも朝霧が晴れると気持ちのいい秋晴れの一日
畑では農家さんたちが雪が来る前にとビートの収穫や豆の収穫に精を出していました
あんまりいいお天気でしたので 夕食の準備の前にカメラを持って出かけてみました
雪を被った山々 色づいた木々 豆のニオ 秋まき小麦の鮮やかな緑
千代田の丘近辺では 
緑肥用のヒマワリが雪の季節を前に今が盛りと咲いているところが何箇所かありました
ヒマワリと雪の山々…
季節が交錯する北海道ならではの風景でした

節子




10月20日

夕食の準備の合間にふと外を見ると
もうすっかり暮れかかった空に 十三夜の月が昇っていました
月明かりのせいもあるのか雪をかぶった山々もまだかすかに見え
絵画の世界のような雰囲気でしたので
1枚写真を撮りました
いつの間にか秋も深まってきましたね
雑木の紅葉も今が盛りです
いつもの年のような鮮やかさはないのですが
シックな色合いもまたいいかも…と思いながら秋を楽しんでいます
良く見ると落葉松もちょっと色が変わり始めました
枝の先端の葉が少し黄色がかってきたように思います
今月26日には雪の予報も出ていますので
気温が下がると一気に色づいてくるかもしれません
今年はどんな黄葉を見せてくれるのでしょう
楽しみですね

節子




10月16日

例年の10月から比べると暖か日が続いていますが
昨日の朝は気温が1度まで冷え込み
そろそろドーンと霜が降り 氷点下まで冷え込む日も近いのかなと思います
いつも寒さに追われながらビニールハウスの片付けや
薪の準備などをしていますので
この暖かさがもうしばらく続いてくれると助かるのですが…
でも冷え込んだ朝は空気もピーンと引き締まって 美しい風景を見せてくれます
写真は昨日の朝 日の出と共に強い光が美馬牛の森や刈り取りの終わった畑を照らし
一面をオレンジ色に変えてしまいました
庭の何の変哲のない草たちも金色に染まり輝いて…
ほんの10分くらいの光のマジックでした

節子





10月12日

庭のハルニレの木がいい色になりました
植えたときはほんの小さな苗木でしたのに
いつの間にかこんなに大きくなりました
2004年の風台風では左側の枝が折れてしまいましたが いつの間にか復活!
最近は樹液が出るためか 夏はクワガタやカブトムシ ついでにスズメバチなどの昆虫が
集まるようになりました
庭の中でもひときわ存在感のある木です
一日の中でも 時間帯 日の光の具合 天候などによって表情を変え
見る者を楽しませてくれます
写真一枚目は霧の朝
2枚目はちょっと曇り空の午前10時ごろ
3枚目は西に傾いた日の光を浴び 色鮮やかに輝いているところ
冬の朝 霧氷が付いて朝陽に輝いた姿もまたきれいなのです
私もとても気に入っている木なのですが
一つだけ問題があります
それは立っている場所が食堂の真正面で
以前は良く見えていた十勝岳などの山々が遮られ 食堂からは見えなくなってしまったことです
私たちが18年前この地に家を建てたとき 1本の木もありませんでした
細い苗木を夫と共に植えていったのですが
半分はネズミや野うさぎに食べられ なかなか育ちませんでした
植えた木が早く大きくならないかなとそればかり思っていましたので
大きくなった時のことがなかなか想像できなかったのです
今となっては動かすこともできませんし
この木がもたらしてくれ恩恵…
夏の日陰や涼しい風 集まってくる小鳥や虫たち
季節の移ろいの中で見せてくれるたくさんの表情…
もっともっと大きくなったら 今度は葉の下の方からまた山々が顔を出すかもしれません
その時を楽しみにこの木を見守りたいと思います
4枚目の写真は駐車場の北側 一段低くなっているところの庭です
10年以上前 この場所でニワトリを飼っていたことがあり
そのお陰なのでしょうか
この場所に植えた木が一番成長がいいのです
いつの間にか白樺 ニレ 桜などが大きく育ち いい感じになってきました
この場所に立つと まだ1本の木もなかった頃が思い出され
月日の流れが感じられ 感慨深いものがあります
来年か再来年には木々の下枝を刈るなど 少し手を入れ
お客さまにも散策していただけるようにできたらいいなと思っています

節子




10月8日

10月に入り暖かい日が続いています
昨日も暖かくのどかな日和でしたので 
買物のついでに美瑛の「憩いが森公園」に立ち寄ってみました

ここは整備される前は「どんぐり公園」と呼ばれ
保育園や幼稚園の子どもたちがよくどんぐりを拾いに遊びにやってきていたそうです
桜の木が多いので5月の花の季節も美しく 私もときどき立ち寄りますが
昨日はそろそろ木々が色づくころかなぁと思い行ってみました
まだまだの木もありましたが もうすっかり色づいて散り始めている木もありました
今年は山の紅葉が遅かったので 平地の紅葉も遅いのかなぁと思っていたら
10月に入り一気に色づいてきたようです
どんぐり公園と呼ばれただけあって どんぐりの木もたくさんあります
どんぐりの木の下の立っていたら
急に頭上の葉っぱが「カサッ カサッ」と鳴ってどんぐりが私の足元にポトッと落ちてきました
しばらくするとまたカサッ カサッ ポトッっとどんぐりが…
リスがいて落としているのかなと思いしばらく見上げていましたが
リスがいる訳でもなく
どんぐりが自分の力でポトッ ポトッと落ちてきているのでした
考えてみたらどんぐりも機が満ちればひとりで落ちてくるのは当たり前のことなのですが
その時は私のために落ちてきてくれたみたいに思えて
一瞬感激して「トトロの世界だぁ!」と胸が躍ったのでした

写真の一番上がどんぐりの木
下から見上げてみました
2枚目は公園内の桜
3枚目は秋蒔き小麦の緑が鮮やかな秋の丘です

節子















登り始め
凌雲閣近くの紅葉













煙を上げる安政火口













熊笹の道














眼下に広がる原始が原














山頂が見えてきた!













山頂から連なる山々を見る













山頂から下界を見る














山頂にて

10月1日

昨日のこと 富良野岳(1912m)に登りました
富良野岳はとぅもろうの正面に見え 朝起きて天気のいい日は一番初めに目に入る山です
前回山頂に立ったのはもう13,4年前でしょうか
その後もう一度登りましたが 悪天候で途中で引き返してきました
「富良野岳に登れる位の体力を維持する」ということが 常日頃の私の目標です
仕事柄だいたい季節的に登れるチャンスはやはり今の時期
でも夏の間仕事に追われ 疲れ果てている時期ですので一番自信のない時期でもあります
行ける所まで行って帰ってこようということで 思い切って出かけました
お天気は前日の不安定な気候が少し残っていましたが
寒くもなくまあまあのお天気
9時15分頃 出発点の十勝岳温泉の凌雲閣に着き 入山届けを書こうとすると
熊出没の注意書きが…
8月30日に富良野岳の中腹で登山者にうなり声を上げながら近づいてきたとのこと
びくびくしながら登り始めました
富良野岳は緑が豊かで 変化に富み そしてほとんどの行程が素晴らしい眺望の連続です
登山口の凌雲閣から安政火口あたりは いつもの年でしたら紅葉が美しい季節なのですが
今年は暑さが厳しかったためか 色づき具合ま今ひとつでしたが
それでも秋らしい色彩に囲まれていました
今も煙を上げる安政火口は 高度が上がるにつれ荒々しい姿が真近に見え 
ハイマツ ナナカマド ハンノキなど低木の木々に囲まれた道を通りながら登っていくと
凌雲閣がだんだんと小さくなりその向こうに上富良野や美瑛の町が霞んで見えました
登っては下り 大きな石がごつごつと転がる道を難儀しながら歩き
熊笹の原を熊におびえながら歩き
清流が流れる小さな沢をふたつ越え
さらに登っていくと 突然反対側の視界が開け
いつもとぅもろうの窓から眺めては
「あの山の向こうはどんな風景なんだろう」と思っていた景色が目の前に広がっていました
反対側は原始が原が広がり その向こうには遠く新得や日高の方面に山々が見晴らせました
そこからはずっと尾根伝いに登っていきます
足を踏み外したら一気に下まで転がってしまいそうでドキドキしながら進みました
道の両脇は石にしがみつくように育つ高山植物の群れ 
お花の季節だったらさぞきれいだろうと思います
まだかまだかと思いながら最後の急斜面を登っていくと
頂上がありました
人が5,6人いたらいっぱいになりそうな狭さですが
眺めは素晴らしく 360度の大パノラマでした
普段はまったく山登りなどしていませんので
ゆっくりゆっくりの行程で 登り3時間半 下り3時間かかりました
下りは楽かなと思いきや 膝にかかる負担が大きく
予想よりも時間がかかってしまいました
また行けるかなと思いつつ
また必ず行こうと思ったのでした

節子